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指す将順位戦 第3局 ポールさん戦

 1月28日、ベッドの上でのんべんだらりと過ごしているとtwitterのダイレクトメールが来ていた。ポールさんからだった。

 要約すると「順位戦そろそろやりませんか? 29日、31日、2月2日のどこかでどうでしょうか?」という内容だった。僕は前日に大学のテストも終わっており、春休みに突入していたのでいつでもよかったが、先延ばしにしてしまうと予定が入ってしまう可能性もあったので思考停止で「明日(29日)にしましょう」と返信した。

 だから今回も特に対策はできていない。(これが言いたかっただけ)

  ただ、直前にツイッターを見ているとポールさんが景気付けにカツ丼を食べていることがわかったので、家にあった2枚の板チョコで対抗し、さらに前回の反省を踏まえ通信切れを防ぐために事前にタブレットスマホの電源は切った。

 先手ポールさん 後手aqua

▲7六歩△3四歩▲6六歩△8四歩▲7八飛△8五歩▲7七角△6二銀▲6八銀△4二玉▲4八玉△3二玉▲1六歩△1四歩▲3八玉△5四歩▲5六歩△5二金右▲2八玉△3三角▲5八金左△5三銀▲3八銀△2二玉▲4六歩△3二銀▲5七銀△2四歩(第一図)

(第一図は△2四歩まで) 

 戦法だけは決めておこうと思い、先手なら久々に指したい戦法があったのでそれを、後手ならば相手に追従して指すことに決めていた。

 今回は後手となったのでその戦法はおあずけだ。

 戦型は先手の三間飛車となった。囲いを穴熊にしようか一瞬迷ったが、ちょっと前に棋譜中継で中田功先生が二日連続で穴熊を解体したのを見てから穴熊をあまり信用できていないのでやめた。

 割とどこにでもありそうな三間飛車左美濃の駒組みだ。

 

  ▲3六歩    △4四歩▲3七桂    △4三金    ▲4七金    △5一角    ▲6五歩    △3三桂▲7五歩  (第二図)

(第二図は▲7五歩まで)

 角の利きを活かした攻めがこわかったので△4四歩~△3三桂と組み、角は5一~8四と展開・・・、したかった。△3三桂と跳ねたところで▲7五歩と突かれ、ディスプレイの前で「あ”っ」と声が出た。

 相手の飛車先なのでうかつに突くと捌かれてしまいそうで後回しにしていたのだが、どこかで先に7四歩は突いておくべきだった。

 △4二角と活用する手もあったが、一度引いた角を戻すのは癪だった。本譜は多少無理気味の開戦といえる。

 

  △6四歩▲6六銀△6二飛▲6八飛△9四歩▲2六歩 △2三銀 ▲5五歩△同 歩    ▲4五歩    △5四銀▲6四歩    △同 飛    ▲6五歩    △8四飛   (第三図)

 

 (第三図は△8四飛まで)

  互いに飛車を6筋に振り直し、本格的な戦いが始まった。途中△9四歩と突いたのは▲7四歩△同歩▲9五角という手が見えたからである。戦いを仕掛ける前に突いておいたほうがよかったかと思う。

 先手は振り飛車らしく5筋、4筋と歩をぶつけ、戦線を拡大してくる。何も考えずに対応していくといわゆる「これにて振り飛車大楽勝(by鈴木八段)」となりかねない。ここからが考えどころだ。

 

  ▲5五銀 △同 銀▲同 角 △4五歩 ▲同 桂 △4六歩 ▲3三桂成 △同 角▲同角成 △同 金 ▲3七金 △4五桂  (第四図)

 

(第四図は△4五桂まで)

  5五の地点で銀を交換しあって△4五歩と手を戻し、▲同桂に△4六歩が狙いの一手。3三で桂と角も交換し、さらに玉が薄くなってしまったが△4六歩が遅れて先手で残っている。同金ととると5七銀があるためこれは取れない。▲3七金に対し△4五桂と好調に攻めることができ気分がよい。ここで優勢を意識した。

 

 ▲4八銀 △5五角▲6六角 △3七桂成 ▲同銀左 △6六角 ▲同 飛 △8八角▲4六飛 △4四歩 ▲7七角 △7九角成 ▲5六飛 △4三金打(第五図)

 

(第五図は△4三金打まで)

 優勢を意識した・・・、のだが▲4八銀が粘りの好手でなかなか決めきれない。△5五角をいれてなんとか攻め倒せないかと考えるもどうもうまくいかない。口の中のチョコレートが甘ったるく感じた。一度清算し、筋が悪いと自覚しながらも△8八角と打った。 ▲4六飛に対しても歩を連打し先手を取ることなく△4四歩と収め、▲5六飛に対しても△4三金打と辛抱する。ゆっくりと駒得を主張する指し方だ。対局中は、まだ少しこちらがいいはずだが、どこかでおかしくしたなと思いながら指していた。
▲5九飛    △7八馬    ▲5五桂    △5三金    ▲5四歩    △同 飛
▲6三桂成  △5九飛成  ▲同 角    △6三金    ▲6一飛    △5二銀
▲8一飛成  △4五桂 (第六図)

(第六図は△4五桂まで)

▲5五桂~▲6三桂成と進み、5九の地点で飛車交換となったが、桂馬は4三に成ったほうがよかった。(A図)

(A図は▲4三桂成まで)

 △5九飛成とすると▲3三成桂と王手で金をとられてしまうのでこちらは△同金右とするよりないが、▲5四飛△同金と進むと本譜より金の位置が悪く後手陣が乱れている。先手はこちらを選ぶべきだったか。

 しかし本譜も自陣にさらに銀を投入した結果、攻め駒不足に陥り苦しい展開となった。せっかく自陣に投入した金をタダでとられるのはまずいと思い△5二銀としたが、これは指しすぎで6三の金を取られても代えて△3二銀と節約すべきだった。

 再度△4五桂と打ってみたものの持ち駒が飛車だけでは迫力がない。

 

  ▲6四歩    △5三金    ▲6五桂    △3二銀▲5三桂成  △同 銀    ▲6三歩成 

(第七図)

(第七図は▲6三歩成まで)

 ぱたぱたと手が進み、簡単にと金ができてしまった。これ以上受けていても仕方ないと思い、反撃に出る。

△5八歩 ▲4八角 △3七桂成▲同 角 △4五桂 ▲7三角成 △5九歩成 ▲同 金 △8九馬(第八図)

(第八図は△8九馬まで)

 まずは△5八歩と叩き、3七の地点を守っている角をいじめる。そして △3七桂成▲同 角 △4五桂とみたび桂馬をうってしつこく3七の地点を狙った。これに対しては▲4八角と逃げるだろうと思っていたが▲7三角成と逃げられて今度は「へっ!?」と声が出た。

 そんなところ行けたの・・・?そうだよねさっき8一の桂馬取られたもんね・・・。これは失敗した・・・。ちくしょうまた読みぬけだ・・・。この手順はお前の人生そのものだ・・・。誰もお前を愛さない・・・。

 半分魂が抜けかけて戦意喪失ぎみになったが、とりあえず歩を成り捨てて形を乱し、△8九馬と攻め駒を補充した。

 

▲5三と    △5七飛    ▲4七桂    △5九飛成  ▲2九金    △4八銀
▲4二と    △3七金    ▲同 銀    △同桂成    ▲同 馬    △同銀成
▲同 玉    △4八角    ▲2八玉    △3七銀まで124手で後手の勝ち

(投了図)

 △5七飛が5九の金と2七、3七をにらむ狙っていた手だったが、これにどう対応してくるかがわからなかった。▲4八金、▲4八銀、もしくは無視して▲4二となどの攻め合いもあるだろう。本譜は▲4七桂だったので金をとることができ、持ち直したと感じた。自玉もギリギリのところまで攻められたが、以下は当初の予定通り3七の地点を攻め、最後は△4八角からの即詰みを見つけることができ、なんとか勝つことができた。

 

 本局は第四図あたりで優勢となったが、そこからじわじわと追い付かれる展開となった。しかし終盤ではあやしい手を交えながらもなんとか勝つことができた。優勢になってから押し切る力が足りていないことを痛感した一局となった。

 対局相手のポールさん、観戦してくださったみなさん、ありがとうございました。

 

 

 

 

 後日談というか、今回のオチ。

 

 

 ・・・実は終盤までほぼ互角だったなこれ?

 

                          糸冬

                         制作・著作

                          NHK